つまずきのある子どもを支援。
すべての子どもに学校を楽しんでほしい

総合福祉学部 教育福祉学科 学校教育コース
伊藤 穂之華さん (千葉県立匝瑳高等学校 出身)

このプロジェクトは?

発達臨床研究センターでの活動

淑徳大学独自の施設で、1965年の開設以来50年以上にわたり、障がい児教育?障がい児保育の拠点として地域社会に貢献している発達臨床研究センター。実習生は、運動面やことば?コミュニケーションに気がかりのある2歳から小学3年生までの子どもを担当児として1年間受け持ちます。専門スタッフの指導のもと、子どもと直接関わりながら発達支援の現場を学ぶことができる極めて実践的な学びの場となっています。

子どもの行動、一つひとつには
意味があると気づいた。

発達につまずきのある就学前後の子どものサポートを学んでいます。実習への参加を希望した3、4年生が2、3人のチームを組み、センターに通所する幼児や小学生1人を担当し、一年を通して学業や運動などの発達支援を行います。実習前に不安だったのは、子どもに受け入れてもらえるかどうかです。実際に会ってみるとすぐに近寄ってきてくれて、親しく接することができました。ただ、顔や名前を覚えてもらえるまでに時間がかかり、他の人と間違われることもしばしばありました。最初は、担当児がなぜつまずいているのか、分からないことも多かったのですが、長期に渡って見守るなかで、一つひとつの行動に意味があることに気づきました。「走り回る」という行動にも、先に体が動いてしまう、教材が苦手、音が気になるなど、その時々の理由があります。日によって様子も異なり、いろいろな顔を見せてくれる子どもが、本当に可愛く思えるようになりました。障がいの種類や行動にとらわれるのではなく、担当児と向き合い、相手が理解できるように分かりやすく関わらなくてはいけないことを学びました。実習で苦労したのは、担当児に学習に向き合ってもらうことです。先輩や先生の療育中の様子を観察して動作を勉強し、実習生同士でロールプレイングを行ってから臨むようにしています。苦手な学習で楽しく療育できたときは、担当児の成長を実感するのと同時に、自分も成長できたと思えた瞬間でした。

障がいのあるなしに関わらず、
すべての子どもに楽しんでもらえる環境を。

自分が教材を出した時には投げ出すのに、なぜ先生や先輩と一緒の時には担当児が楽しそうに取り組むのか。参考になったのは、撮りためた動画です。そこでは自分だけでなく、先生やペアを組んでいる上級生、週に2回ほど参加している先輩方が同じ担当児を療育している様子を観ることができます。動画を見進めていくなかで、まず子どもに期待感を持たせ、褒めながらモチベーションをあげることが大切だと感じました。途中で投げ出しそうになったら終点を決めて、最後までやりとげることで、達成感を感じてもらうのがポイントです。動画や実際の療育のなかで、ヒントになった話し方や動作を真似てみると上手くできて、私も先生に褒めてもらえました。私自身、思い通りにいかず、この実習から距離を置きたくなることもありました。しかし、担当児のことを理解しようと努力し、先輩方に相談しながら学習を工夫したことは、発達障がいの子どもを支援するための貴重な経験になりました。 私の将来の夢は、小学校の先生になることです。現在、発達障がいの子どもは通常学級に2、3人いるというデータがあり、医学的な判断が出ていない子どももたくさんいます。障がいがなくても、さまざまな理由で居心地が良くない子どももいるかも知れません。この実習での経験を活かして、障がいのあるなしに関わらず、すべての子どもに学校を楽しんでもらえる環境を作れる先生になりたいです。

記事内容は2019年~2021年取材時のものです。